大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和42(あ)2479 決定

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

被告人Aの弁護人中山福蔵の上告趣意は、違憲(三一条違反)をいう点もあるが、

実質は単なる法令違反、事実誤認の主張であつて、上告適法の理由にあたらない。

被告人Bの弁護人植木幹夫の上告趣意は、量刑不当の主張であつて、上告適法の

理由にあたらない。なお、原判決は、同被告人が、昭和三九年七月一六日に暴力行

為等処罰に関する法律違反により懲役八月に処せられ、控訴および上告が棄却され

て昭和四〇年一二月七日に確定し、昭和四一年九月一三日に右刑の執行を受け終つ

たものであるとの前科の事実と、被告人が、昭和四〇年六月下旬ごろから昭和四一

年一〇月一七日までの間、けん銃等を不法に所持していたとの第一審判決判示第一

の事実との累犯関係の有無について、右けん銃等の不法所持の犯行は、その最初の

所持行為に着手したときに全体としての不法所持罪の着手があつたものとみるのが

相当であるから、その最初の所持の始められた当時、いまだ前刑の執行を受け終つ

ていなかつたときは、たといその後、右所持の継続中に前刑の執行を受け終つたと

しても、全体として再犯の要件を備えるに至るものと解することはできないとし、

本件不法所持が始められた昭和四〇年六月下旬ごろには、いまだ右刑の執行を受け

終つていなかつたことが明らかであるから、累犯関係は無いものと解すべきである

と判示している。しかし、刑法五六条一項にいう「罪ヲ犯シ」とは、犯罪の実行行

為をしという意味であるから、累犯関係の有無は、前刑の執行を終りまたは執行の

免除があつた日から五年の期間内に、犯罪の実行行為をしたか否かを基準にして決

すべきものであつて、五年の期間内に、犯罪行為の着手があつたか否かのみを基準

にして決すべきものではない。明治四三年一〇月一一日大審院判決(刑録一六輯一

六八九頁)および昭和二四年四月二三日第二小法廷判決(刑集三巻五号六二一頁)

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が、五年の期間内であるか否かを犯罪の着手の時を基準にして決すべき旨判示した

のは、五年の期間内に実行行為の着手があれば終了の時が五年の期間後であつても

よいという趣旨であつて、いかなる場合においても、五年の期間内に犯罪の着手が

なければならないということを意味するものではない。ところで、原判決の認定し

た前記事実関係によると、同被告人は、懲役刑の執行を受け終つた昭和四一年九月

一三日以降も、同年一〇月一七日までの間、引き続いてけん銃等を不法に所持して

いたというのであるから、これが、右にいう「罪ヲ犯シ」の要件をみたすものであ

ることは多言を要しないところである。そうすると、これと異なる見地に立つて、

累犯関係の成立を否定した原判決には、法令の解釈適用を誤つた違法があるが、本

件は被告人のみの上告にかかるものであり、刑訴法四一一条を適用すべきものとは

認められない。

被告人Cの弁護人橘一三の上告趣意第一は、事実誤認の主張であり、同第二は、

量刑不当の主張であつて、いずれも上告適法の理由にあたらない。

被告人Dの弁護人和島岩吉、同岡田忠典の上告趣意は、量刑不当の主張であつて、

上告適法の理由にあたらない。

よつて、刑訴法四一四条、三八六条一項三号により、裁判官全員一致の意見で、

主文のとおり決定する。

昭和四三年一一月七日

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 入 江 俊 郎

裁判官 長 部 謹 吾

裁判官 松 田 二 郎

裁判官 岩 田 誠

裁判官 大 隅 健 一 郎

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